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塩尻・旧楢川中施設の利活用 合板製造工場計画が浮上

合板工場を中心に林業振興の拠点としての活用計画がある旧楢川中学校

 塩尻市の旧楢川中学校が、信州産のカラマツなどを使った「合板」の製造工場として利活用される計画があることが17日、分かった。市が施設貸与と環境整備で協力し、民間企業が林業・木工関連産業の振興や教育・啓発、新たな価値創造を行う拠点を目指すもので、現在詳細を協議している。市議会議員全員協議会で市側が説明した。

 事業は竹中工務店(大阪市)と市森林公社が合同出資する「ソルトターミナル」(塩尻市)と、木材製品の開発製造などを行う「TreeToGreen」(東京都)が9月に設立した新会社「ツミカサネ」(木曽町)が行う。長さ24センチ以下で曲がりがあるカラマツの原木を奈良井の区有林などから切り出し、高級な内装用合板に製造する計画だ。旧楢川中を「第1工場」とし、木曽町に「第2工場」を設けて事業展開する。
 森林をテーマにした教育研修の場、漆や木工職人、林業、家具・内装事業者などのオフィスや工房誘致で複合的な振興を図る提案もされているという。
 市は施設所有者として、国の交付金などを活用して体育館とランチルームを製材工場として改修する考え。おおむね25年以上を貸与期間とし、その後、建物は譲渡する方針だ。
 旧楢川中は奈良井にあり、敷地面積は3万1316平方メートル、建物は昭和63(1988)年建築の地上3階建て鉄筋コンクリート造(延べ床4296平方メートル)。義務教育学校への移行に伴い令和4年4月から空き校舎になっていた。市は自然博物館の移転先として検討したが課題が多く断念。後利用については地元住民に意見聴取した上で、今年8~9月に民間提案公募を実施、2件の応募があった。市が審査し、優先交渉権者を決めた。
 今月中に民間事業者と貸与などについて基本合意し、来年の市議会3月定例会に提出する予算案に関連経費を計上、事業者と利活用に関する覚書を締結する予定だ。