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今季の松本山雅、土台もろく リーグ戦4位 プレーオフ進出も勝てず

ドローの結果に悔しさをあらわにする松本山雅の選手たち。昇格切符が最後に手からこぼれ落ちた(7日、富山戦)

 明治安田J3リーグの全日程が7日に終了し、松本山雅FCは昇格にあと一歩及ばなかった。目を見張るラストスパートでJ2返り咲きに期待を抱かせたが、試合ごとの波が大きく、安定した戦いができなかったことが3季連続で切符を逃した結果につながった。

連勝少なく 伸びない勝ち点
 2季目の霜田正浩監督に率いられ、優勝を目標に掲げた。指揮官が編成にも携わり、新たに迎えたベテランを含めて個の質は他チームに勝り得る陣容となりながら、有機的に機能させられたとは言い難い。ふたを開ければ積み上げが勝ち点に結びつかず、終盤まで中位をさまよった。
 リーグ戦は16勝12分け10敗の勝ち点60で4位だった。ターニングポイントは本拠地で敗れた第33節。剣が峰に立たされた残り5戦で3―4―3へのシフトチェンジに踏み切り、そこから連勝街道を走って帳尻を合わせるように新設の昇格プレーオフ圏内を確保した。
 計16勝のうち、逆転勝ちは1試合。1点差ゲームは白星と黒星が等しく八つだった。連敗は1度だが、5連勝以前は2連勝が2度のみ。ラストの戦いぶりは、昨季から乏しかった「強さ」をまとったかに映ったが、数字が物語るように確固たるものではなかった。
 昇格を懸けたプレーオフ決勝は2―2のドロー。システム変更後の進撃が、スタイルを崩さなかったカターレ富山に押し切られた格好だった。目的を達するための勇気ある決断は見事だったが、それでも勝負どころで培った強みを貫き通した相手の戦いぶりが、築いてきた土台のもろさを浮き彫りにした。

指揮官の求心力 衰え一丸に遠く
 順位で見れば昨季の9位を上回り、総勝ち点は6増だった。それでも1位の大宮アルディージャとは勝ち点差25で、自動昇格のFC今治とは同13。プレーオフが最後まで希望をともしたが、自動昇格園との差は昨季より広がっている点は見過ごせない。4位で終わった年間成績が、明暗を分ける大事な局面で大きくのしかかった。
 最終盤は目標達成の可能性と、連ねた勝利に導かれた理想的な一体感がチームをつなぎ止めた。だがメンバー選考に関し、シーズンを通して基準が選手によって異なることへの不満を抱く声が少なからず渦巻いた。一枚岩で突き進む機運が薄かった要因の一つなのだろう。指揮官の求心力が失われていたのは否めなかった。
 総得点61はリーグ5位。浅川隼人の13得点が最多で、村越凱光が8ゴールで次いだ。失点減を掲げて始動したが許した得点は45。昨季と大差はなかった。