望む人生の幕引き事前指示書で 安曇野市と医師会が運用計画
安曇野市は、人生の最期にどんな医療を受けたいか、どこで過ごしたいかを家族などと話し合い、事前に意思表示する文書「リビングウィル」(事前指示書)の運用を計画している。市医師会と協力して文面を作成中で、令和8年1月の配布開始を目指す。望まない延命処置は受けずに、自分らしく尊厳のある最期を迎えたい人の一助とする。
安曇野市版リビングウィルの案では、心臓マッサージなどの延命処置を希望するか否か、最期を過ごしたい場所は自宅か病院か入居施設かを選ぶ項目と、自由記述欄を設定する。本人に加え、判断力がなくなった時の代理判断者となる家族やケアマネジャー、かかりつけ医などが署名する。
市医師会の中島美智子会長は、自宅で最期を迎えたいとの意思が周囲に伝わらないまま救急搬送され、関係者が残念な思いをした事例があると指摘。リビングウィルに法的拘束力はないとしつつも「本人の意思を家族同士で確認していることが大事だ」と話す。
亡くなる直前まで自分らしい生活が送れるようにすることは、市の地域包括ケアの将来像の一つ。市は地域包括支援センター職員など医療・介護関係者への周知や、松本広域消防局との運用確認をした上で希望者に用紙を配布する。十分な説明を行うため市役所や同センター、居宅介護支援事業所での手渡しを原則とする。市高齢者介護課は「自分の思いを家族に受け止めてもらい対応することが、自分らしい最期につながる。話し合うきっかけにしてほしい」としている。
リビングウィルは松本市や塩尻市などでも配布している。