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元銭湯がデイ施設に再生 松本の「ばらの湯」

タイル画「赤富士」を背景に、洗い場を改修したテーブルで和む利用者ら(以前の女湯)

 令和3年に惜しまれながら営業を終えた松本市蟻ケ崎2の銭湯・ばらの湯がデイサービスセンターとして生まれ変わり、営業を始めた。浮世絵を模した見事なタイル絵は健在で、「赤富士」の女湯は昼食や会話を楽しむホールに、荒れ狂う波が見事な「神奈川沖浪裏」の男湯は浴室にし、できるだけ手を入れず銭湯時代の雰囲気を大切に再生した。

 民家をリフォームしてデイサービスセンターを営むコムレイド(和田怜士社長、松本市島立)が10月、銭湯の建物を借りて開業。「カモミールハウスばらの湯」と名付けた。
 ホールになった女湯は改修を工夫した。寝湯だった浴槽は、寝転がって休めるように厚いクッションを敷き詰めた。全長約3メートルの洗い場には一枚板を張りカウンター式のテーブルを作った。男湯は機械浴や手すりを備えた以外はそのまま。銭湯の浴槽にガスで温めた井戸水が張られ、利用者がタイル画を眺めながら入浴できる。番台やのれん、外の看板も残した。利用者の清水照子さん(93)=松本市惣社=は「井戸水なので入浴後、ぽかぽかと温かい。富士山のタイル画もいい」と笑顔だった。
 ばらの湯を営んだ高橋邦孔さん(64)は「老朽化し再生は難しいと思っていた。銭湯で使っていたものを再生してもらえてうれしい」と話し、管理者の和田由佳さん(43)は「銭湯の雰囲気で利用者と職員の会話がより弾み、お互いに楽しく過ごせる場になっている」と語っている。