上條俊介の彫刻作品に光 朝日美術館で29日まで展示会

朝日村出身の彫刻家・上條俊介(1899~1980)の作品を紹介するコレクション展が29日まで、村内の朝日美術館で開かれている。上條俊介記念館でもある同館は多くの作品を収蔵し、折々に展示している。ただ、常設展示はないため、本年度は上條俊介の命日(9月11日)に合わせて9月に企画し、内容をより充実させた。同館は「郷土の美術家の作品に触れる機会を増やし、彫刻一筋に生きた志や業績を知ってほしい」と願っている。
初期の頃から晩年までのブロンズ像、ブロンズ像鋳造の前段階の石こう像など53点を紹介。松本市のJR松本駅お城口、同館前の縄文むら公園にある「播隆上人像」、「物くさ太郎像」といった松本平でなじみ深い肖像やモニュメントになっている作品、東京都を拠点に活躍していた頃の女性像などが並ぶ。帰郷後制作した「農村託児行」は、村の農家の家族が題材で、村中央公民館前にある像「あすを拓く」として親しまれる。
上條俊介は明治32(1899)年、古見に生まれ、旧制松本中学校から早稲田大学政経学科に進学。大学在学中、長崎市の平和記念像で知られる彫刻家・北村西望に師事し、多くの優れた作品を制作した。
特別展示している「上原三兄弟像」は、第2次大戦中、特攻隊員として22歳で亡くなった上原良司、ともに戦争で亡くなった兄の良春、龍男をしのぶ作品。戦況悪化で上條俊介が46歳で帰郷した際の疎開先・東筑摩郡和田村(松本市和田)で出会った上原家の依頼で制作した。
会期中、同館友の会が発案したクイズ企画も行い、全4問の正解者には同館限定のスタンプを台紙に押印し、ポストカードを贈る。