2024.9.21 みすず野
童話『銀河鉄道の夜』『注文の多い料理店』の著者で知られる宮沢賢治。病気に伏して記した「雨ニモマケズ/風ニモマケズ」で始まる詩に、生き方が表れる。9月21日は賢治の命日。昭和8(1933)年に37歳の若さで亡くなった◆賢治は現在の岩手県花巻市出身で、質・古着商の裕福な家に生まれた。少年時代から植物採集や、特に鉱物採集に熱中した。大正3(1914)年に盛岡中学を卒業、翌年盛岡高等農林学校農学科第2部に主席入学。在学中、勉学に励む一方、短歌にも新境地を開き、連作短歌や詩的散文を次々に発表した◆大正10年12月から稗貫農学校(のちの花巻農学校)教諭となり、4年余り教壇に立った。15年3月で農学校を退職。下根子桜(現在の桜町)で青年を集めて羅須地人協会をつくり、農業技術や農業芸術論を講義し、レコード鑑賞や合奏練習もした◆『日本大百科全書』(小学館)で賢治の足跡をざっとたどってみた。生涯の概略を頭に入れ、作品に触れれば新たな発見があるかもしれない。安曇野市穂高有明の絵本美術館「森のおうち」で10月4日から「西洋の薫り宮沢賢治絵本原画展」が開かれる。