2024.8.18 みすず野
「雷」と「稲妻」は違うもの?俳句を詠む方は「違う」と即答するだろう。雷は夏、稲妻は秋のそれぞれ季語だからだ◆『日本大百科全書』(小学館)の説明文によると、雷は電光が見え、雷鳴が聞こえる状態。遠方の雷は、電光が見えても雷鳴は聞こえない。そこで気象庁では、観測地点の天気状態を表現するのに、そのような表現を用いているという。対して稲妻は、一般には電光と同じ意味に用いられている。が、雷雲が遠いため電光の形が見えず、雲に反射して明滅する明かりを特に指すという説もある、としている。簡単にいうと、光と音がそろっていると雷、光だけ見えると稲妻ということになるだろうか◆では、なぜ稲妻は秋の季語なのか。『よくわかる俳句歳時記』石寒太編(ナツメ社)に「稲の穂が結実する時期に多く発生することに由来」と説明が載る。「古くから稲は電光と交わって実を孕む、つまり電光は稲の夫であると考えられ」と続く◆ことしの稲の作柄はどうなのだろうか。主食の米が品薄となり、価格が高騰すれば家計への打撃は避けられない。しっかりと稲妻の光を浴び、豊作となることを願うばかりだ。