政治・経済

松本の食肉処理施設移転 朝日村が最有力候補地に

地権者らを対象に開かれた説明会の会場(11日夜、朝日村西洗馬防災センター)

 JA全農長野の子会社・長野県食肉公社が松本市島内で運営する食肉処理施設の移転問題で、県や全農側が朝日村を最有力の移転候補地としていることが分かった。県などは11日夜、村内の地権者らに事業案を説明。移転が決まれば、中信4市村の松塩地区広域施設組合が食肉処理施設の周辺一帯で建設を計画する新ごみ処理施設の用地確保にめどが付く。

 関係者によると、候補地は同村西洗馬の鎖川沿いの農地で、以前から工業団地の造成が計画されていたエリア。と畜解体などを行う施設を建設し、公社が主体となって運営する。地下水をくみ上げて枝肉の洗浄に使用し、水処理をして鎖川に放流する。
 地権者への説明会は非公開で行われた。出席者によると、一部から悪臭や地価下落への懸念の声が出たものの、大きな反対はなかった。地下水確保などの条件を満たせば、本年度中にも用地買収に入る考えを示したという。50代男性は「密閉型の施設で周辺への影響はほとんどないとの説明を聞けて良かった」と話した。
 立地条件に合う食肉処理施設の移転先の選定が難航する中、同村が今年に入って候補地を提起し、検討が進んだ。県園芸畜産課は市民タイムスの取材に「十分な地下水があるか確認した上で最終判断する」とし、水脈を把握する試掘や地質調査を行う考えを示した。
 松塩地区広域施設組合が運営する松本クリーンセンターは焼却炉が老朽化し、安定稼働できるのは令和15年までとしている。このため市は公社に貸し付けている土地を8年度末までに返還してもらい建設に着手する方針だが、全農側は1月に返還期限の延期を要請。不透明だった先行きが好転する見込みが出てきた。
 村は、移転候補地が立地条件を満たせば基本的に受け入れる方針だ。公社は「ノーコメント」としている。