大学生審判、信州球児と奮闘 千葉出身の山崎さん、志願しデビュー

全国高校野球選手権長野大会は連日、白熱した試合が展開されている。球児が全力プレーで練習の成果を発揮できるのも、多くの人たちの支えがあってこそ。一翼を担う審判員は炎天下でも雨降りでも、選手の一挙手一投足を最も近くで見守る。その一員に今夏、新たな顔ぶれが加わった。千葉西高校(千葉市)の元球児で、信州大学経法学部2年生の山崎弘夢さん(20)=松本市桐2=だ。県外の高校出身の大学生は珍しく、信州の球児と一緒に情熱を燃やしている。
審判に興味を持ったのは高校1年生の時だった。練習中に右膝の靱帯を損傷し、1年ほどプレーできない期間があった。千葉県は高校数が多く、練習試合で審判員が足りないときがあり、リハビリとして始めた。次第にのめり込み、今では友人との談笑中、自然と審判のジェスチャーをしてしまうほどだ。
ブラスバンドの演奏や声援が響きわたる球場に立てることが魅力だという。大学に進学し、これまで関わりがなかった松本に来ても「球場に立ちたい」という思いが薄れることはなく、思い切って県高校野球連盟に電話した。
今春に軟式野球で公式戦デビューを飾り、今夏、初めて硬式の試合でジャッジした。ベテラン審判員の迷いのない動きや立ち姿が「格好いい」と言い、日々刺激を受けながら技術を磨く。「球児にとっては審判員が新人かどうかは関係ない。最後までやり切る」と強い覚悟を持って臨んでいる。
県高野連の上條亮・審判部長は「長野県を含め、全国的に審判員のなり手は不足している。高校野球界の発展のために後輩を育てていきたい」と話し、今後の活躍に期待を寄せる。