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「信濃の国」で腎臓リハビリ 松本市立病院が考案 なじみの県歌大好評

県歌「信濃の国」のリズムに合わせて腎臓リハビリをする透析患者

 松本市立病院(波田)は、県歌「信濃の国」を取り入れた腎臓リハビリテーションに力を入れている。人工透析を受ける患者が、県民なら誰でも知っている県歌のリズムに合わせて体操をしている。患者からは「慣れ親しんだ信濃の国だと体を動かしやすい」と好評で、同病院は「腎臓リハビリを行う他の病院に紹介できれば」としている。

 腎臓リハビリは人工透析を受けている患者が、透析中に体操をしたり食事療法の指導を受けたりして健康や体力維持につなげる取り組みで、令和4年4月に保険適用された。患者は1回4~5時間の透析を週に3回受ける必要がある。運動する時間が取れない人も多いことから全国の病院で腎臓リハビリが実施され始め、市立病院も同年9月に取り入れた。
 当初は看護師らのかけ声で患者に寝たまま手足を動かす体操を促していたが、「患者さんがもっと楽しんで体を動かす方法はないか」と考えたスタッフが知恵を絞り、「信濃の国」を使うことにした。県のホームページからダウンロードした県歌に、AI(人工知能)の体操を指導する音声を合わせて完成させた。昨年12月に始め、当初の参加者は4、5人だったが、今では透析を同じ時間に受けている20人ほどが一斉に体を動かすようになった。
 「信濃の国」の活用を他の看護師と一緒に考案した茂澄文美さん(52)は「腎臓リハビリをするようになって、患者さんから『転ばなくなった』『ペットボトルのふたを開けられるようになった』との声が聞かれた」と話す。同病院で10年間透析しているという女性(65)は「口ずさみながら無理せずに体を動かせる」と歓迎する。
 松本市が指定する透析医療機関は9カ所で、腎臓リハビリを取り入れる病院も増えている。市立病院は「信濃の国」を使った腎臓リハビリ体操をSNS(交流サイト)で紹介することを検討している。