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作品再現に情熱込めるミュージカル少年 市民芸術館で初舞台へ

手作りの舞台で「レ・ミゼラブル」を披露する新堀君

 ミュージカルをこよなく愛し、世界観の忠実な表現に情熱を傾けている少年がいる。松本市の源池小学校6年・新堀央桔君(11)だ。歌やダンスから衣装、メーク、舞台セットまで、妥協を許さない作り込みで「劇団四季」の作品や東宝製作「レ・ミゼラブル」を追求してきた。これまでは家族や親しい人に向けて披露することが多かったが、5日に「子どもたちの映画祭」にパフォーマンス出演し、まつもと市民芸術館で"初舞台"を踏む。

 伸びやかな歌声、軽やかなステップ―。劇団四季の作品だけでもレパートリー曲は約60曲に及ぶ。衣装や大道具も全て手作り。ミュージカル「キャッツ」に登場するリーダー猫のマンカストラップや「レ・ミゼラブル」の主人公ジャン・バルジャンになり切り、クリスマスや誕生日は数時間にわたる一人ミュージカルで家族を楽しませる。その姿勢は筋金入りだ。
 小学1年生の時に劇団四季の「ライオンキング」を家族で鑑賞したのが始まり。「歌声や舞台に圧倒され、ミュージカルの人になりたいと思った」。その後もさまざまな舞台に足を運び、同時に声楽やダンス、ボイストレーニングを習い始めた。大好きな世界を真っすぐに追い求める姿を家族も応援し、母親で漫画家の鈴木ともこさんは「日常と境目なく文化芸術に触れられる松本の地が『自分を堂々と表現していいんだ』という価値観を育んでくれた」と話す。
 昨秋にはユニークな取り組みが同映画祭関係者の目に留まり、ステージパフォーマンスの打診を受けた。当日はオリジナルの衣装で舞台に立ち、歌や踊りを披露する予定だ。
 将来の夢はミュージカル俳優。「豊かな表現が詰まったあの世界が大好き。もっと自分を磨きたい」と目を輝かせている。