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春耕告げる 野焼きの炎 木曽町 御嶽山麓の開田高原

舞い上がる野焼きの炎と御嶽山(写真奥)。オレンジ色の炎が農地のあぜを駆け、パチパチと音を立てながら一帯を黒く焼き尽くした(13日、開田高原柳又地区)

 木曽町開田高原で、春の芽吹きを促す野焼きが行われている。炎がはぜながら農地を駆け、冬枯れの風景を黒々と一変させる。農作業の始まりを告げる春の風物詩だ。

 青空が広がった13日、残雪の御嶽山を仰ぐ柳又地区では、朝から約30人が作業した。バーナーで火を放って農地のあぜを焦がし、火消し役は針葉樹の枝で炎をたたいて延焼を防いだ。消防団員は消防車両で警戒に当たった。
 住民たちによると、野焼きはかつて山でも行われ、家畜の餌にする草を取るために欠かせなかった。現代では主に景観づくりや病害虫駆除が目的といい、隣組長の坂下和秀さん(55)は「荒地にしないためにも大切な作業」と話していた。灰の下からやがて春が芽吹き、一帯は程なく新緑に覆われる。
 燃えさかる炎の波に写真愛好家もカメラを向けた。地元の大竹史也さん(30)は「(写真の構図として)空に浮かぶ雲の具合も悪くない。今日は絶好の条件」と話し、盛んにシャッターを切っていた。
 開田高原の野焼きは地区ごとに行われ、大半の地区がこの日までに済ませた。

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