地域の話題

松本の画家・田口勝さん 集大成の画集完成

英国の田園風景を描いた絵画と、画集を手にほほ笑む田口さん

 松本市開智3の画家で絵画講師・田口勝さん(79)がこのほど、画集「ENGLAND(英国)の田園を描く」を制作した。水彩絵の具で描いた英国の庭園や川辺、趣のある家並みなど25点を収録。大手4の喫茶店・珈琲茶房かめのやに画集と原画を展示しており、「まもなく80歳になる。節目に人生の集大成のつもりで作った。ぜひ多くの人に見てもらいたい」と話している。

 過去8回の旅行で出合った風景で、古い建物の壁や屋根の質感、みずみずしい木々の緑などを丁寧に表現している。実際にはそこにいない赤い服の貴婦人やネコを描き込むなど、遊び心も光る。
 小学生の頃から絵が得意だった田口さんは、画家の道を志したこともあったが昭和46(1971)年に市職員に。広報紙の担当を務めた同55年ころ、市内を撮影して歩く中で、中心市街地の再開発で古い建物が相次いで壊されているのを目にした。「消えていく民家や街角の風景を絵で残したい」と街角スケッチを始めた。
 今回画集にまとめた英国の民家は「かやぶきやしっくいなど、日本の古民家と通じるものがある」と田口さんは語る。「古い建物は文化であり、まちのアイデンティティー。絵を通じて多くの人にそのことを感じてもらいたい」と願う。
 田口さんは晴れた日の午前10時ころにはかめのやに来店して過ごしており、来訪を歓迎している。