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オオルリシジミの自然発生数減少 あづみの公園の保護区内で

国営アルプスあづみの公園内で確認されたオオルリシジミ(令和4年5月撮影)

 安曇野市の天然記念物に指定されているチョウ・オオルリシジミの自然発生数が令和3年以降、大きく減少している。信州大学の中村寛志名誉教授の調査によると、国営アルプスあづみの公園堀金・穂高地区の保護区内で確認された成虫の数は、令和元年のピーク以降右肩下がりが続く。昨年は卵と幼虫の数も極めて少なく、関係者が危機感を募らせている。

 オオルリシジミについては、専門家や国営アルプスあづみの公園、地元住民、市などでつくる「安曇野オオルリシジミ保護対策会議」が保護活動に取り組む。保護区内は自然発生で、天敵のハチによる卵寄生を防ぐために野焼きをするなどして発生環境を整えている。
 国営アルプスあづみの公園堀金・穂高地区でこのほど開かれた保護対策会議で、中村名誉教授が調査結果を報告した。新年度の方針も協議し、保護区は例年通りの条件で発生状況を調査して減少の原因究明を進めること、自然発生の期待ができる園内の一角に新たにさなぎを放虫することなどを決めた。
 会議では、関西学院大学教育学部助教の江田慧子さんが「ここ3年は幼虫の数から翌年の成虫の発生数が予測できなくなっている。幼虫から成虫までの間で何らかの要因があるのでは」と推測。オオルリシジミは気温が30度以上になると生存率が下がるという研究結果にも触れた。
 さなぎは地表から3センチほどの深さで夏~冬を過ごすことから、保護対策会議の那須野雅好代表は新年度、地温を計測する考えも示す。「手探りになるが、自然発生の継続を念頭に置いていきたい。チョウが自力で生存していくために、発生環境を増やしていくことが大切」と話していた。

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