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松本出身の山崎監督、米アカデミー賞の視覚効果賞に輝く 地元出身者の快挙に市民沸く

「ゴジラ―1.0」の岡谷市ロケで市民タイムスの取材に応じた山崎監督(令和4年5月8日=左写真)、「ゴジラ―1.0」を鑑賞後、ゴジラの展示を見学する来場者(11日、松本シネマライツ=右写真)

 松本市出身の山崎貴監督(59)が手掛けた「ゴジラ―1.0(マイナスワン)」が、96回米アカデミー賞の視覚効果賞を受賞した。地元出身者の快挙に松本地域の市民や映画関係者は沸き立った。

 山崎監督と同様、少年時代に「スターウォーズ」や「未知との遭遇」を見てVFX(視覚効果)に興味を持ち、教育現場で映画作りに取り組む松本市の梓川小学校教諭・麻和正志さん(58)は「言葉にならない。自分事のようにうれしい」と感極まった。視覚効果賞は長年、米国のVFX製作会社・ILMが席巻していたとし「神々のいるオリンポス山を同郷の映画人が制圧した」。児童の映画作りに気さくに助言をくれる山崎監督の人柄にも触れ「人を束ねる仕事。監督の人徳も作品作りに大いに影響したはず」と敬った。  シネマコラムニストで監督の母校・松本県ケ丘高校の同窓生でもある、映画館東座(塩尻市)の合木こずえ代表(64)は「胸にこみ上げるものがある」と感涙。物語のヒーローでもなく華々しい俳優でもなく「映像の裏側に子供時代から興味を持ち、撮影技法への情熱と好奇心を今日まで貫いてきた。すごいの一言に尽きる」。未来を担う世代にとっても功績は計り知れないとし「強く望み、努力を重ねれば夢はかなうことを示してくれた。多くの若者が監督に続き、好きな分野を伸ばしてくれるように」と願った。  「ゴジラ―1・0」は封切りから既に4カ月以上がたつが、松本市高宮中の松本シネマライツや山形村のアイシティシネマなど、松本地域の映画館では受賞を受けて客足が伸びた。  松本シネマライツは急きょ、ゴジラ関連のポスターや祝福メッセージを展示。劇場入り口ではゴジラ立像も来場者を出迎えた。この日に偶然鑑賞した安曇野市穂高の会社員・佐々木良さん(48)は「映像や音響の迫力がすごくて内容も深い。映画館でこそ見るべき作品」と堪能していた。  各館は上映回数を増やしたり上映時間を調整したりといった対応を検討する。  松本市美術館は12日から、受賞記念の特別展を開催する。

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