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田の原湿原の再生目指す 木曽町図書館で取り組みの資料展示

土中の断面標本(左手前)やパネルなどを通じて、田の原湿原の再生に向けた取り組みを紹介している展示

 御嶽山の王滝登山口(王滝村)に位置する田の原湿原の再生に向けた取り組みを紹介する資料が、木曽町図書館に並んでいる。一帯はかつて日本有数の高層湿原だったが、現在は乾燥による消失が危ぶまれている。展示では、雨水の地中への浸透を促す環境土木工事の手法をパネルで紹介している。18日まで。

 高層湿原とは、ヨシやスゲといった植物が枯れて堆積が進んだ結果、周囲よりも盛り上がり、雨水や雪解け水のみが流れ込む湿原のことをいう。
 田の原湿原(標高約2200メートル)はササが生い茂り、わずか3畳分ほどの水のたまり場に湿原の名残が見られるのみとなっている。村の委託で、自然環境の保全や調査に携わる一般社団法人ルーツオンタケ(木曽町福島)が昨夏、土中環境を改善する工事を施した。
 同法人は、U字溝を伝った雨水が地下に浸透せず、地面を流れ下ってしまうことが乾燥化の原因と推測した上で、土中に石や丸太、わらなどを埋設した。水がゆっくりと時間をかけて地面に染み込む仕組みをつくった土中の構造が見て取れる断面標本も用意した。同法人の担当者は「活動に理解を深め、湿原再生に関心を持つきっかけになれば」と話している。

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