朝日村歴史民俗資料館に氏神遺跡コーナー

朝日村の朝日美術館2階に入る村歴史民俗資料館の常設展示がこのほどリニューアルし、令和2年に発掘調査が行われた氏神遺跡(西洗馬)の出土品紹介コーナーが新設された。縄文時代草創期から平安時代にかけての石器や土器、縄文中期以降の住居跡といった数々の出土品の中から特色ある約60点を初公開している。今月中旬には、村内の遺跡で初確認された鉄製品で、平安時代に小刀として用いられたと見られる鉄製刀子の公開も始まった。
鎖川の支流・内山沢左岸の標高約810メートルの段丘に位置する遺跡で、向陽台住宅団地の第3期造成に伴い調査が行われた。土器片・石器1万3000点以上が出土。北陸や関東圏など遠く離れた場所の文化の影響を感じる特徴的な文様の土器が多数ある。縄文中期初頭・中葉の竪穴住居跡や、弥生の石器、平安の竪穴建物跡、貯蔵目的とみられる土坑、墓坑、人骨も発見されている。
刀子は約1000年前の平安中期の住居跡から見つかり、長さ約16センチ、厚さ0・7センチ程度。さびて劣化し壊れてしまうことを防ぐため、今夏から約3カ月かけて保存処理を行った。県立歴史館(千曲市)考古資料課の白沢勝彦さんの指導で、朝日美術館学芸員の青木啓子さんが作業を担当。薬剤で数カ月かけてさびの原因となる塩分を取り除いた後、樹脂を浸透させて接合した。
文化財保護に大切な保存の過程や裏側も広く知ってほしいと、保存処理報告書もまとめ館内で紹介している。青木さんは「当時の文化や暮らしぶりに関心を寄せるきっかけになれば」と願う。午前9時~午後5時。月曜休館。29日~1月19日は冬季休館。問い合わせは同館(電話0263・99・2359)へ。