地域の話題

平和を考える絵本55冊を紹介 松本の中本晶子さん編著書出版

『平和の種が見つかる絵本』を手にする中本さん(左)と装画や挿絵を手掛けた小平さん

 長年にわたって各地で司書を務めてきた、松本大学松商短期大学部非常勤講師の中本晶子さん(69)=松本市岡田下岡田=が今月、編著書『平和の種が見つかる絵本55』を高文研(東京都)から出版した。戦争や紛争、格差、差別、環境破壊など平和を脅かす諸問題が国内外に山積する中、平和について感じ、考える指針となる絵本55冊をえりすぐった。

 ▽平和ってなんだろう▽人間の尊厳とは▽地球とともに生きる―など6章立てで国内外の絵本を取り上げた。『動物会議』『わたし/あなた』『ひろしまのピカ』などテーマの異なる55冊を、作者や出版年、ストーリーに加え中本さんの言葉で紹介。『せいめいのれきし』(1964年)の項は「かけがえのない『あなた』がいるというメッセージ...これはどんなに時代が変わっても、古びない」と結んでいる。
 中信地方の市民有志が隔月発行するニュースレター「平和の種」で中本さんが16年にわたって連載している「平和を描いた絵本から」を大幅に加筆修正した。3年前に出版を構想し、親交のある安曇野市の木版画作家・小平彩見さん(51)に協力を依頼。装画制作などを担った小平さんは「世界情勢が混沌とする中、出版を手伝うことが次世代のために平和の種をまくことにつながると思った」と話す。
 中本さんは「知識を得るのでなく、心で感じる点が絵本の良さ」と語り「思いを共有する仲間は世界中にいるはず。紹介した本をぜひ手に取り、共に平和の希求を」と話している。127ページ1600円。