帯状疱疹ワクチンに注目 松本市の接種補助申請が伸長

松本市が本年度始めた、帯状疱疹ワクチンの接種費用の補助申請が伸びている。高齢化の進行に加え、子供の水痘(水ぼうそう)ワクチンの定期接種化で発症者が減り、子供のウイルスを介して免疫が活性化される効果を得られず帯状疱疹を発症する大人が増えており、市民の間で関心が高まっている。
補助は50歳以上の市民が対象で、1回接種で効果が5年程度とされる「生ワクチン」(接種費用約1万円)に3000円、2回接種で同10年程度とされる「不活化ワクチン」(同約4万円)に1回ごと6000円・計1万2000円を補助する。補助率は約3分の1で、県内19市で実施しているのは松本市のみだ。
事業を始めた4月に500件を超える申請があり、その後も少ない月で200件程度、多い月は250件以上で推移している。10月末で計1874件で、市健康づくり課の田中正一課長は「予想外の反響。このまま推移すると(予算の)補正も考えなくてはならない」とする。
帯状疱疹は、多くの人が子供の時に感染する水ぼうそうウイルスが原因で起こる。水ぼうそうが治った後もウイルスは体内に潜伏し続け、潜伏率は日本人の成人では90%以上に上る。市医師会顧問で、状況に詳しい杉山外科医院(島立)の杉山敦医師(69)は、平成26(2014)年に子供の水痘ワクチンの定期接種が始まって発症する子供が激減した結果、子供のウイルスを介して大人の免疫が活性化される「ブースター効果」が得られなくなっているとし「40代までの若い世代でも発症者が増えている」とする。
こういった状況を踏まえ、市医師会は30年から市に接種費用の補助を要望してきた。杉山医師は「市の補助は国に先駆けた取り組み」と評価し「大いに利用してワクチンで予防に取り組んでほしい」と話している。