連載・特集

2023.12.29 みすず野

 今年、小紙にインタビュー記事が載った社会学者の上野千鶴子さんは、長野県境に近い八ケ岳南麓の山梨県北杜市に山の家を持つ。1人暮らしの「おひとりさま」の上野さんは、大みそかをこの家で過ごすようになり、おひとりさま仲間「大みそか家族」ができた◆夕方から鍋料理を食べ、近所のそば打ち名人から打ち立てのそばが届く。午前0時きっかりに「明けましておめでとう」の声でシャンパンを開ける。元日は1人でスキーに行き、1時間で引き上げる。近所のカップルを呼んでおせちを食べる◆おひとりさま仲間が年々増えていく。「女おひとりさまにはこんな楽しみがあるのだけれど、男おひとりさまたちは、大晦日と正月をどうやって過ごしているのかしら?」(『八ケ岳南麓から』山と渓谷社)と結んでいる◆すでにおひとりさま生活をしている友人が何人かいる。それぞれに、暮らしを十分楽しんでいるように見える。大みそかに飲もうという誘いもあったっけ。正月にボランティア活動をしている友人も。いつの日かおひとりさまになったときの日々を思い描いてみる。上野さんのようにはつらつと過ごせるだろうか。