2023.12.19 みすず野
この時期の楽しみは、郵送されてくるあちこちの古書店の在庫を掲載した古書目録や、各地で開催される古書展の出品目録だった。立派な書籍のような目録があればコピーをとじただけの簡単なものもあった。賞与が支給される師走を狙っての発行だったと思う◆その目録が1部減り2部減りして、とうとう何も届かなくなった。手元不如意の期間が途切れることなく続いているのが要因。注文が途絶えると、目録発送も打ち切られる。インターネットで全国の古書在庫が調べられるようになった今も、目録は発行されているのだろうか◆探してみたら、川崎市の古書店が30年近く前に発行したB5判162ページの目録が残っていた。肉筆類では寺山修司原稿9枚45万円、井上ひさし色紙2万円など。写真が載っていると、その筆跡を楽しんだ記憶がある。手紙やはがきの類いもあり「はがき自筆2行」などの説明が付いていた。ただし、肉筆物は偽物の心配もある◆購入するつもりがなくても、細かい字でぎっしりと並ぶ書名を読むだけで楽しかった。古書目録は個人的にではあるけれど、年末の風物詩でもあったのだなと今頃気付いている。