地域の話題

特殊造形 緻密な作品解説 山崎貴監督と共に映画製作 元内さん・佐々木さん夫妻

山崎展に出展された模型やミニチュアを解説する元内さん(右)と佐々木さん(左)

 松本市美術館の特別展「映画監督 山崎貴の世界」に出展中の多くの模型やミニチュアを手掛ける、特殊造形家の元内義則さん(56)、佐々木利佳さん(55)夫妻=東京都=が26日、同館を訪れ、関係者に作品を解説した。同市出身の山崎貴監督(59)とはデビュー作以来、多くの映画製作で仕事を共にし、緻密な職人技で作品の世界を引き立てている。元内さんは「妥協せずこだわることでリアルな表現になる」と信念を語った。

 CGなどを駆使した映像表現VFXで知られる山崎作品だが、架空の世界にリアリティーを与える重要な存在に、人の手を介して作られるミニチュアや模型がある。夫妻は山崎監督が描くデザイン画やコンテを元に、登場人物たちが過ごす家や街並み、戦闘機などを3次元で精巧に表現。それらを撮影し、CGや別撮りの役者と合成することで、より生々しい映像が完成するという。
 2人はこの日、松本映画祭プロジェクトの関係者に展示内容を解説した。映画「STAND BY MEドラえもん」で使用した6分の1スケールの「野比家とのび太の部屋」や映画「BALLAD名もなき恋のうた」に登場する春日城の大櫓など会場に並ぶ多くの模型やミニチュアを細部まで語り、素材や構造、塗装や質感に至る究極のこだわりが関係者をうならせていた。
 近年はCGや高性能の3Dプリンターが普及するが、アナログだからこそ作り出せるものや、効率よく表現できる世界があるという。元内さんは「さまざまな技術を用途用途で使い分ける点に良さがあるし、面白い。これからも特殊造形にこだわり続けたい」と話していた。