大雨被害の塩尻市道高ボッチ線 東山ルート復旧本格化

令和3年8月の大雨被害を機に断続的に地滑りが発生し、車両通行止めになっている塩尻市の市道・高ボッチ線東山ルートの復旧工事が本格化した。観光で近年、人気の高ボッチ高原に続く道だが、路面が陥没し最大2メートルの段差が生じており、国の災害査定を経て、来春の通行再開を目指して工事を進めている。
現場は国道20号から市道に入り約5キロの地点で、被災した既設道路と同じ幅4.5メートルを確保するよう、20日に重機で山を削り始めた。現道よりも5メートル山側に道路が寄る。地滑りが完全に止まったわけではないため、工事業者と市が山の状態を監視しながら慎重に作業する。工期は来年3月末までとしているが、市建設課の武居寿明課長は「安全第一で来春の再開を目指したい」と話す。
被災範囲は長さ80メートル、幅70メートル、土砂の厚さは7~9メートルに及ぶ。令和3年8月13~15日の雨量は340ミリに達し、当時は20センチ程度だった段差が昨年11月下旬には1.5メートルに広がった。地滑りの進行状態を監視しながら復旧工法を検討し、5月には国の災害査定を受け工事の準備を進めてきた。
降雨により地下水の水位が2~3.5メートル上昇し、湧き水の発生などで地滑りに影響するため、3カ所で計10本の横穴を掘削し地下水を排出する対策も施している。現場周辺のカラマツなど樹木100本を伐採した。工事に伴う排出土は6300立方メートルとなる見通しで、約半分の量を高ボッチ高原の駐車場整備に有効活用する計画だ。
本年度の国の公共土木施設災害復旧事業として行われる。事業費は、これまでの応急復旧工事も含め2億1600万円。