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防災と観光 両立いかに 御嶽山VⅭ 開館1周年 三岳と王滝 来場者計2万4000人超

大勢が来場して展示物を見学するさとテラス三岳(8月14日)

 木曽町三岳と王滝村に開館した二つの「御嶽山ビジターセンター(VC)」が1周年を迎えた。町立の「さとテラス三岳」と県立の「やまテラス王滝」で、昨年8月27日のオープン以来、展示などを通じて自然と歴史、文化の魅力を発信しつつ、平成26(2014)年の噴火災害の記憶と教訓を伝えてきた。観光・交流の拠点施設としてだけでなく、火山防災の拠点としてさらに役割を果たしていくことが期待されている。

 さとテラス三岳は国道19号と開田高原(木曽町)などを結ぶ幹線道路沿いに立地し、道の駅を併設する。指定管理者の木曽おんたけ観光局によると1万6430人が来場した。地元住民だけでなく多くの観光客が訪れ、県内の小中学校や高校の利用も目立った。
 やまテラス王滝は、一般道路の終点となる王滝口登山道7合目にある。冬季休館(昨年10月24日~4月28日)があり、来場者数は速報値で8212人。今夏は噴火災害以来不通だった剣ケ峰(3067㍍)―王滝頂上間の尾根筋「八丁ダルミ」が登山者に開放されたことなどから、8月だけで2300人以上が立ち寄った。
 さとテラス内には、火山防災の啓発活動などを担う「御嶽山火山マイスターネットワーク」が拠点を置く。行楽期に合わせて体験イベントや写真展などを企画し、マイスターの池井真由美さんは「活動の幅を広げることができた。好評だった企画を他の場所にも波及できたら」と話す。
 死者・行方不明者計63人を出した噴火災害を風化させないため、今後は災害当時を知らない子供たちをはじめ将来にわたり伝えていくことが求められる。火山災害や避難方法などを学ぶため、広く消防や行政、福祉などの関係者の利用も考えられる。木曽おんたけ観光局は「火山防災という教育・啓発の側面と、御嶽山一帯の魅力を伝える観光の側面を両立させる難しさがあるが、災害を風化させないという第一の使命を果たし続けたい」としている。