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被爆ピアノで平和の祈り 来月13日、穂高有明でコンサート

会場の☆ほしのむら☆と、慰霊コンサートを企画した神谷さん(中央)

 太平洋戦争末期の昭和20(1945)年5月に安曇野市であった空襲の犠牲者を音楽で慰霊するため、被弾した現場の近くにある穂高有明の古民家「☆ほしのむら☆」で、7月13日に平和祈念のミニコンサート(「平和のピアノ」実行委員会主催)が開かれる。同じ年に広島市で被爆して修復されたピアノ「被爆ピアノ」で平和の大切さを発信する。

 穂高出身でミュージックボランティア・サポーターズクラブ(MVSC)主宰の神谷悟さん=東京都=が企画した。被爆ピアノを管理・所有する調律師の矢川光則さん、元宝塚歌劇団のシンガー・ソングライターまほろば遊さん、ピアニストの川添由梨香さんが出演を予定している。
 矢川さんは全国各地を巡って被爆ピアノ平和コンサートを行っている。安曇野市で昨年開かれた同コンサートで安曇野にも空襲があったことを知り「戦争という悲惨な経験を忘れてはならない。慰霊したい」と思いを語っていたという。縁あって会場を確保できた神谷さんの企画にまほろばさんも快諾。神谷さんは「思いが集まって今度の公演につながった」と振り返る。
 安曇野市の歴史文化遺産再発見事業実行委員会発行の書籍『穂高の宝』によると、昭和20年5月19日に1機のB29爆撃機が上空に現れ、旧穂高小学校の南側150メートル付近に爆弾5発を、新屋神社の北西100メートル付近に24発を投下した。同神社近くでは供出用のサツマイモの耕作中で、爆弾の破片が当たった女性2人が即死し、数人が重軽傷を負った。現場には遭難の碑がひっそりと立っている。
 当日は出演者らが被弾地を慰霊した後、午前11時から45分間の公演を予定する。鑑賞無料。神谷さんは「身近な場所で戦争があったことを知り、被爆ピアノの音色を感じながら平和について考えてほしい」と願う。
 問い合わせはMVSC(電話080・5073・4764)へ。