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文字の書体を自ら考案 書体設計士・鳥海さん指導のグループが松本で作品展

第1期生が制作した作品

 「書体設計士」として文字デザインを手掛ける鳥海修さん(68)=安曇野市=が塾長を務める、松本文字塾の作品展が10日まで、松本市内で開かれている。第1期生16人が、それぞれ考案した書体で平仮名、片仮名を表し展示。塾生たちの成果と、文字の世界の魅力を見ることができる。

 1期生はグラフィックデザイナー、文字を作る会社に勤務する人らで東京、大阪などから参加。展示会場のマツモトアートセンター(松本市大手1)で昨年度、月に1度受講した。明朝体の歴史やデザインを学び、自分なりの構想を固め制作を進めた。 
 小説、音楽から着想を得てアイデアを考えたり、実用書向けを目指したりと、方向性はさまざま。グラフィックデザイナー・落合あや子さん=東京都武蔵野市=は明治期に印刷に使った金属活字をヒントにした。「現時点で、できることはした。2期目は構想を決めて文字に表したい」と意欲を見せる。
 1年の間に塾生の作る文字はどんどんまとまっていったが、読みやすさの前に個性を優先したり、決定を変更したりと、それぞれの曲折や苦労があった。形を探す歩みを、鳥海さんは「自分と向き合う時間」と表す。
 鳥海さんは字游工房(東京都)で文字デザインに携わってきた。東京で文字塾を平成24(2012)年に開始。新型コロナウイルス禍をきっかけに安曇野市に移住し、松本で文字塾を開くことになった。
 本年度は第2期生が取り組む。「地元の人にも参加してほしい。松本は特有の民芸的な要素がある。文字に関心を持ってもらい、文字全体の解釈や活用する力が上がっていけば」と話している。
 展示は午後1~6時。最終日は午前10時~午後1時。入場無料。