連載・特集

2023.6.17 みすず野

 NHK朝の連続テレビ小説は、植物学者だった牧野富太郎が主人公だ。書店には関連本のコーナーが設けられている。その生涯は、長編小説『ボタニカ』(浅井まかて著、祥伝社)などで描かれている◆県内の植物研究家として知られるのは旧会田村(のち四賀村、現松本市)出身で県内の小学校などで教えた横内斎(1895~1980)さん。昭和39(1964)年に長野県で開催された全国植樹祭では、昭和天皇に植物の説明をされている◆松本市の郊外に広がる美ヶ原は「世界の天井がぬけたかと思うようなのが美ヶ原だ。二、〇〇〇メートルの高さに、こんなに広い、すばらしい原があるとは、誰が想像し得よう」(『草木漫筆 横内斎著作集1』銀河書房)と記す。昭和33年に発表された「美ヶ原」と題したエッセーだ◆自分の植物図鑑を初めて持ったのは、小学校4年生だった。新書判ほどで、ビニールカバーが付いた携帯用。植物の名前が図鑑で調べるとわかるという経験は新鮮で、「カラスノエンドウ」なんて植物があることも知った。カバーが破れぼろぼろになるまで使った。すっかり忘れているが昔は理科少年だった。