連載・特集

2023.6.15 みすず野

 入梅後の雨に2~3回あたった熟し始めが漬け時だという。梅の実のへたを竹串で一つ一つ取っている方もおられよう。指南本を図書館で探すと、どれも貸し出し中だった。ようやく見つけた一冊は『梅しごと』(中村成子さん著、文化出版局)◆6月下旬になると赤じそが出回り、梅雨が明ければ土用干し。ちゃんと季節に合わせて作業が進む。こうして昔から〈手塩にかけた〉家ごとの〈塩梅〉が受け継がれ、食文化を紡いできたんだなぁ。郷里の家の台所にも茶色の陶がめがあったと懐かしくページを繰った◆当地では陸上自衛隊松本駐屯地の小梅漬けが紙面に載ると、今年もそんな時季か―となる。直売所で人気のカリカリ梅の仕込みも始まる。生坂や木曽で取材に行った。自家製のお宅は減っていると思われるが、それでも「梅酒やシロップを作った。梅仕事が終わった」と寄せられる投稿を読むのは楽しみだ◆たくさんの料理が紹介されるなか、やっぱりご飯に梅干し!の日の丸弁当やおむすびが一番おいしそう。生唾が湧く。シンプルといえば―つゆに梅干しを入れ、好みの薬味で頂くゆでうどんも食欲を誘う。試してみたい。