中町の来訪者が過去最多 中心街の重心移動か パルコ閉店今後どう影響

松本市や松本商工会議所が今月まとめた、市中心街の歩行者や自転車を対象にした本年度の通行量調査(秋季)で、中町通りの通行量が昭和53(1978)年度の調査開始以来、最多となった。観光客や、周辺の大型店と合わせて立ち寄る買い物客の増加が大きい。長く中心街の商業の「重心」だったものの通行量が減少傾向にある伊勢町などを上回ってきており、存在感を高めている。
調査は毎年6月と10月の日曜日に1日間、歩行者と自転車をカウントする。天候の影響で変動が大きいものの、街のにぎわいを測る指標だ。本年度秋の調査は昨年10月23日に実施。エリア別の通行量は、最多の本町が前年度比41・9%増の1万5450人、続く駅前通りが同12・6%増の1万2906人、中町が同42・8%増の1万2398人だった。
中町はこの日、歩行者天国イベントの開催日だったため来訪者が多かった。ただ、平成29(2017)年のイオンモール松本の開業以降の通行量は年々右肩上がりで、中町商店街振興組合によるとイベント開催日以外の人出も増えている。
気がかりなのは2年後のパルコ閉店だ。イオンモールからパルコへ、またその逆へと移動する買い物客が多いためで、花岡由梨理事長は「大型店から大型店への動線、イベントによる集客だけでなく個店の魅力を高める事業にシフトしたい」と話す。
調査開始初年度には通行量が最多だった伊勢町は、前年からは回復したものの最盛期の5分の1程度になった。伊勢町商店街振興組合の稲垣貫一理事は、かつては伊勢町と六九町にあった中心街の「重心」が大型店の充実などで移動したことを理由に挙げる。会員の減少などで組合は解散する予定だが、「伊勢町としてのまとまりは維持していければ」と話す。