政治・経済

公示地価 商業地は二極化鮮明に 住宅地は3市で上昇続く

 国土交通省は22日、今年1月1日時点の公示地価を発表した。松本市の商業地の平均変動率はマイナス0・1%で、3年連続の下落となったが、前年(マイナス0・5%)より下落幅は圧縮された。前年は横ばいだった安曇野市の商業地の平均変動率はプラス0・1%で、3年ぶりの上昇となった。塩尻市の商業地はマイナス0・2%で3年連続の下落だった。新型コロナウイルスの影響からは回復基調にあり、松本市では人気の有無で地価の二極化が進んでいる。

 松本市の商業地18地点のうち、前年より価格が高くなったのは5地点で、前年より1地点増えた。最も上昇率が高かったのは中央4のイオンモール松本近くの1・2%で、1平方メートル当たり前年より1100円高い9万6700円となった。モールの開業翌年から6年連続の上昇となる。
 中南信を鑑定した茅野不動産鑑定(松本市島立)の茅野武弘さんは、松本市内の商業地を3パターンに分けて分析する。「駅前」は、新型コロナによる観光客の減少などの影響を大きく受けたが「令和3年で底を打ち、観光客が戻り始めている。弱含みだが回復傾向」とする。住宅地に近い「近隣商業地」は、商業地としての開発は少ないが、住宅地の影響を受けて地価変動は小さい。国道19号、国道158号、やまびこ道路沿いの「ロードサイド」は物流施設としての引き合いが多く、上昇傾向にあるという。
 茅野さんは「松本市は需要が集中し地価が上昇するエリアと、下落が止まらないエリアの二極化が鮮明になってきている。ただ、全体としては上昇も下落も大きなものではない」と分析している。
 安曇野市の商業地は、上昇が1地点、下落が1地点、2地点が横ばいとなっている。塩尻市の商業地1地点は下落した。
 住宅地の平均変動率は、松本市がプラス0・7%(前年比0・3ポイント高)で7年連続の上昇、安曇野市がプラス0・4%(同0・2ポイント高)で6年連続の上昇、塩尻市がプラス0・7%(同0・2ポイント高)で8年連続の上昇となった。
 茅野さんは「松本市は人口減少がそれほど進まず高齢化も緩やか。働く世帯が多く世帯分離も進み、需要がある」とする。安曇野市は、豊科と穂高はもともと需要が多く、特に穂高は「リゾートのセカンドハウス」としての人気も出始めている。塩尻市は住環境が整備され「セイコーエプソンの従業員の住宅需要が下支えしている」とする。
 木曽地域など山間部は人口減少が止まらず、高齢化も進み、取引が少ない状態が続いている。