教育・子育て

子ども日本語教育センターに恩返し 中国出身で金沢大生の塩原冬己さんが指導

外国にルーツがある子供たちらと一緒にゲームを楽しむ塩原君(左から2人目)

 中学生の時に中国から松本に移住し、松本市子ども日本語教育センターの支援を受けながら、日本語を勉強した塩原冬己さん(19)=金沢大学国際学域国際学科=が17日、同じように外国にルーツがあり、来日時には日本語が話せなかった子供たちを対象とした、市内での勉強会に参加した。知らない外国で、言葉が分からないという同じ思いをした"後輩たち"のために、勉強を教えたり、一緒にゲームを楽しんだりし、思いに寄り添った。

 塩原さんは中学2年生の春、中国の遼寧半島にある大連から松本に家族と移り住み、丸ノ内中学校に通い始めた。来日時は、日本語の50音が分かる程度で、授業で先生が話すことは全く分からなかったという。
 同センターコーディネーターで日本語教育支援員の栗林恭子さん(52)らが週2回、学校を訪問し、塩原さんの日本語学習を手助けした。塩原さんは熱心に学び、中学3年の夏には、学校の授業に困ることはない程度にまでになった。その後、松本美須々ケ丘高校に進学、高校でも放課後に同校図書館で勉強を続け、昨春、一般入試で金沢大学に現役合格した。
 塩原さんは「困っている人を助け、手を差し伸べてくれた支援員の先生には憧れがある。恩返しの気持ちで、日本語を支援する先生になれたら」と夢を語る。栗林さんは「知らない国に来て分からない言葉を周囲が話す、私たちは想像するしかない思いが冬己君には分かる。冬己君にしかできない(外国がルーツの子供たちの)支援ができると思う」と夢を応援している。