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南木曽 再びホタルの里に 蘇南高 3年生2人 復活へ飼育 「観光資源」後輩に託す

学校の暗室で飼育中のホタルの幼虫を確認する松下君(手前)、三石君

 南木曽町をホタルの里に―。町内の蘇南高校3年生の松下慶介君(18)、三石達万君(18)は本年度、総合探究の時間を使ってホタルの飼育に取り組んできた。かつて町内の各所にいたというホタルを復活させ、観光資源などに活用させたい考えだ。プロジェクトは後輩に引き継ぎ、ホタルの定着を目指す。

 豊かな水資源に注目していた2人は、松下君の祖父が住民グループ「南木曽ホタルの里づくり研究会」の代表だった縁もあって、取り組みを始めた。
 かつてホタルの飼育に使われていた妻籠クリーンセンターの一角を拠点にした。近くの馬籠地域(岐阜県中津川市)の関係者の協力を得てゲンジボタルを捕獲し、6月ころに産卵・ふ化させた。秋ころに高校の暗室へ飼育場所を移し、幼虫を育ててきた。同時に餌となる巻き貝・カワニナの養殖や、ホタルの放流候補地とした大妻籠地区の水路清掃にも取り組んだ。
 現在は水を張ったプラスチックケース6箱に幼虫約200匹がおり、水や餌の管理をしている。暑さでカワニナが全滅するなど、飼育は試行錯誤の連続だったが、三石君は「1年間情熱を持って取り組んできた」と力を込める。
 プロジェクトについては、後輩に呼び掛けたところ5人が引き継ぐことになった。来年度に放流を始める予定だが、ホタルの定着は簡単でない。松下君は「5年はかかる計画」と見据えた上で「ただ育てるだけでなく、観光資源など南木曽に貢献できる取り組みになれば」と思いを託す。