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須澤元夫さんの画業伝える 遺族らが松本で別れ惜しむ作品展

ギャラリータカハシで始まった「お別れ展」

 松本市清水1の画家で、今月16日に交通事故のため亡くなった須澤元夫さん(享年86)をしのぶ絵画展「須澤元夫の道お別れ展」が23日、同市出川3のギャラリータカハシで始まった。故人が生前予定していた作品展を、遺族やギャラリー関係者が急きょ回顧展として準備した。人生の苦楽を絵画に昇華させ、半世紀以上にわたって個展を開き続けた須澤さんの画業を伝えている。28日まで。

 風景画や静物画、自画像から須澤さんが書き残した言葉まで、大小100点近い作品が並んだ。画材は水彩、パステル、油彩、墨とさまざま。ジャンルや道具にこだわるのでなく、自身が心引かれるモチーフを描くために最も適した手段を選べばいいとの思いが作風に表れていたという。
 昭和12(1937)年、市内北深志出身。次男として生まれたが長男が幼くして亡くなり、同20年には父親も43歳の若さで死去。苦学生の少年時代を送った。元来絵を描くことを好み、高校の定時制を経て土産物品の額絵を描く仕事を始め、独学しながら30代半ばで子供の絵画教室を開いた。以後多い時期では15カ所で幅広い世代に絵を教えながら、自身の個展を開き続けた。
 息子2人を先に亡くすなど多くの辛苦も経験したが、時に仏画や寺院の襖絵、天井絵なども手掛け、描くことをやめなかった。
 妹の西牧敏子さん(79)=同市出川町=は「誰とでも穏やかに接する兄だった」としのぶ。弟の須澤勲彦さん(80)=同市埋橋1=は「長い人生の苦楽を乗り越え"須澤元夫の道"を歩み切った」と話している。