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良及の書状9通 修復 木曽代官・山村家7代目 木曽町教委 名古屋屋敷の家臣宛て 

修復が完了した山村良及の書状

 木曽谷を治めた尾張藩木曽代官・山村家の7代目当主・山村良及(1686~1752)が、同家名古屋屋敷留守居役を任された家臣に宛てた書状9通を、木曽町教育委員会が修復した。木曽の森林伐採を巡り山村家と尾張藩の緊張関係が続いた時代にあって、名古屋と木曽のパイプ役を務めた家臣へのあつい信頼がにじむ内容。町教委は、町の歴史を伝える重要な歴史資料として、今後住民向け講座などで活用する。

 12年の長期にわたり名古屋屋敷留守居役を任された家臣・桑原六郎左衛門と息子・佐左衛門に宛てた書状で、良及の改名前の名「良敬」や、山村家当主の通称・甚兵衛を示す「山甚兵」の記載がある。
 文面では「時局が難しい時期。あなたを名古屋に据え置きたい」「留守居役をもう1年やってほしい」など、信頼を置く家臣への率直な言葉が並ぶ。「将軍への謁見が無事済んだ」など近況を伝える内容もある。良及が家臣に宛てた書状が木曽で見つかるのは初めて。
 書状は六郎左衛門の家系にゆかりのある人から町に寄贈されていた。寄贈後は手つかずの状態だったが、9代目当主・山村蘇門公の没後200年(令和5年)をきっかけに担当者の目に止まり、内容を精査する中で重要な歴史資料であることが判明した。
 もともとは9通が一連の掛け軸に仕立てられていたが、破損するなどしていたため、今年3月から修復を行っていた。
 町教委生涯学習課の牛丸景太主査(33)は「有識者と意見交換をしながらさらに詳しい価値付けをしていきたい」と話している。
 町教委は10月上旬に開く「木曽学講座」で書状を初披露する考えだ。