イチゴ 塩尻の新たな特産品に 塩尻志学館高・北原さんが研究

塩尻志学館高校(塩尻市)3年生の北原拓実さん(17)=塩尻市=が、奇形のイチゴが実る原因と対策の研究を始めた。形が良くて商品価値のあるイチゴの栽培方法を塩尻市で普及させて、新たな特産品にするのが夢だ。県野菜花き試験場(同市宗賀)の協力を得て、試験場が開発した新品種のイチゴの苗を20株譲ってもらい、学校の温室で大切に育てている。
同校と試験場が栽培利用許諾契約を結び、夏秋イチゴ「サマーリリカル」の苗を12日に譲り受けた。北原さんは、ココヤシの実の殻の繊維をほぐして水に浸してあくを抜き、プランターに敷き詰めて苗を植える。自動給水器を付けて水やりをする。
ハエによる受粉、手作業での人工授粉、何らかの方法で風を送っての授粉など、さまざまな条件で育てる。ハエの数を変えて実への影響も調べる。5~11月に何度も実る品種で、通年で収穫して、形や個数を基に奇形果率を出す計画だ。
北原さんは昨年度、同校の生徒たちが50年後の塩尻市の未来像を考える活動に参加した。ブドウ・リンゴ狩りに次ぐ新たな観光資源として、イチゴ農園の開園やイチゴ狩り、若手就労者の育成を提案した。実際に仲間と学校でイチゴの栽培もした。
北原さんは「イチゴを作っても形が悪いと売れないので、生産者が増えない」と農業の課題を挙げる。「商品価値がない実をできる限り出さないように、どうすればいいかを解明したい」と研究の動機を話す。1、2年生3人も協力に手を挙げ、「心強い」と意欲を湧かせている。
同試験場育種部の主任研究員・江原靖博さん(47)は「将来の農業を担う後継者として、高校生たちに期待したい」と後押ししている。