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塩尻の火の見やぐら撤去進む 最近20年間で35基解体

新年度に撤去を予定する火の見やぐら(広丘野村)

 塩尻市は、老朽化した防災施設・火の見やぐらの撤去を少しずつ進めている。市が管理しており、情報伝達手段が多様化してほとんど利用されない一方で、維持費がかかるからだ。市内には55基が現存し、消防団各部で必要とする20基を残して順次解体していく方針だ。

 市議会3月定例会に提出した新年度一般会計当初予算案に、解体費として100万円を盛った。可決されれば6年度中に広丘野村にある半鐘の付いた1基を除去する計画だ。
 市によると、平成15(2003)年度ころに撤去が始まり、本年度までの20年間に35基を解体した。1年に1、2基ずつ撤去し、30年の5基が最も多い。照明を取り付けて利用している場合、照明灯の移設に時間を要するなど、なかなか作業が進まない場合もある。
 火の見やぐらは、火災の早期発見や消防団員の招集合図、住民への警鐘発信で使われ、多くは昭和期に設置された。鉄製の3本の支柱で屋根が付いた形やはしご状のものもあり大小さまざまだ。
 現在は市の防災メールなどで情報の即時伝達ができ、消防団が使った消防用ホースを干す目的以外は、大半は使われていない。半面、構造物のさびなどの状態を確認しながらの定期修繕が必要で、1基当たり数十万~100万円の維持管理費がかかる。
 直近では令和2年度に撤去に関する地元の意向調査も行っている。地区で維持管理を請け負うという申し出はないが「歴史的に遺したい」との住民意見はあった。市危機管理課は「地元の自治会や防災組織と相談しながら進めたい」と話している。

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