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カラムシ繊維 お守りに 麻績村 菅野さん編んで試作 麻績神明宮で授与へ

麻績神明宮の山崎宮司(左)と相談しつつカラムシ繊維のお守り作りを模索する菅野さん。初めて試作品(右端)を授与する

 麻績村でかつて栽培されたとされる麻に似たイラクサ科の植物・カラムシの栽培・繊維作りに村内で取り組む菅野由紀さん(50)=筑北村乱橋=が、麻績神明宮に奉納し昨年初めておはらい用の大麻にも採用されたカラムシ繊維を、麻績ならではの縁起物として再利用できないか模索している。繊維をひも状に編んだ試作品を麻績神明宮の許可を得て二年参り・初詣で初めて授与する予定で、カラムシ文化の発信になればと願っている。

 菅野さんは神明宮で大麻用に使われたカラムシが利用後はおたき上げ処分されると知り、再利用してカラムシ文化継承に役立てられないかと着想。カラムシを通じ菅野さんと10年来の親交がある民芸研究家・宮嶋通江さん(83)=松本市=が所属する松本地方の機織り愛好団体「とちの実の会」の協力で、奉納に使わなかった繊維で試作した。試作品はトチの実に穴を空けて丈夫なカラムシひもで結わえた素朴な根付けのお守りで、古来より食用と衣類用にそれぞれ利用された山里の恵みを象徴するという。
 相談を受けた山崎洋文宮司は「おはらいは場のけがれなどを吸い取る意味合いがあり、大麻は本来は再利用しない」としつつ「おみくじの『大凶』が『今後は運気が上がるのみ』と喜ばれる例もある。しっかりお清めすれば、縁起物に転じる考え方もよいのでは」と一定の理解を示した。
 菅野さんは、来年以降の本格活用を視野に「手に触れて身に付けるお守りとして活用し、村民がカラムシを身近に感じるきっかけとなれば」と願っていた。