連載・特集

2023.10.27 みすず野

 きょうから読書週間が始まる。週間というものの期間は11月9日までの2週間。3日の「文化の日」を中心にしている。始まったのは戦後間もない昭和22(1947)年。77回目となる今年の標語は「私のペースでしおりは進む」◆詩人の荒川洋治さんは、著書『読むので思う』(幻戯書房)で「本を読むと、何かを思う。本など読まなくても、思えることはいくつかある。だが本を読まなかったら思わないことはたくさんある」と語る◆「人が書いた作品のことがらやできごとはこちらには知らない色やかたち、空気、波長をもつ。いつもの自分にはない思いをさそう。読まないと、思いはない。思いの種類の少ない人になり、そのままに。そのままはこまるので、ぼくも読むことにした」と◆先月刊行の韓国文学翻訳者、斎藤真理子さんの『本の栞にぶら下がる』(岩波書店)は、読書エッセー集。ある本を取り上げ「私はこの本について何も引用しなくていいことが、とても幸福だった。自分はここしばらく、引用するために本を読んでいたのだなあと、悟った」という。そうか、自身も全く同じように読んでいたのだな、と気がついた。

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