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18歳、社会体験で自己探求 安曇野で2人がギャップイヤー

安曇野でギャップイヤーを過ごしているスタブロスさん(右)と新垣さん

 進学・就職する前の一定期間を自己研さんや社会体験に充てる「ギャップイヤー」を、安曇野市で過ごす2人がいる。いずれも高校を卒業したばかりのスタブロス京さん(18)と新垣明日歌さん(18)で、三郷小倉の民宿・地球宿に住み込んで、宿の仕事を手伝ったり農業を体験したりして、知見を広げている。

 スタブロスさんはオーストラリアの高校を卒業後、合格した大学の入学を1年遅らせてギャップイヤーを過ごす。欧米の大学では、ギャップイヤーは制度として一般的だという。「高校では進学のことを慌ただしく決めた。将来についてもっと深く考えたい」と話し、農業を体験したい人と農家をつなぐ制度「WWOOF(ウーフ)」を活用して4月中旬から約1カ月間、地球宿に滞在する。
 新垣さんは東京都の高校を卒業し、4~12月をインターンシップ生として地球宿で過ごす。教育や福祉に興味があり、高校時代は15校ほどの大学のオープンキャンパスに参加。自身が求める子供との関わり方を模索するも、行きたいと思える大学が見つからなかった。「みんなが進学しているから自分もとりあえず、というのは納得できない。自力で自己探求したい」と、ギャップイヤーを過ごすことを選んだ。
 2人は宿の掃除や料理、畑や田んぼの農作業などを手伝う。宿泊客との交流も楽しみ、新垣さんは「今まで会ったことがないような人と出会う。得る刺激が多く、日ごとに視野が広がる」と目を輝かせる。スタブロスさんは「勉強という基準以外の自分の価値が分かった。子供に好かれるとか」と笑顔を見せる。
 日本では一般的でないギャップイヤーを過ごすことに、「社会からどう見られるだろう」という不安や葛藤があった新垣さん。しかし一歩踏み出した安曇野での生活は、新鮮な学びに満ちている。「進学や就職のペースにも多様性があっていいと思う。ギャップイヤーがいろいろな選択肢の一つになれば」と願う。