松本の今昔比較 写真集に 館報編集の市民有志 郷土の変容丸分かり

松本市公民館報で平成23(2011)年から連載している名物コーナー「まつもと今昔」が写真集になった。昭和~平成半ばに撮影された市内の様子と、同じ場所から撮影し直した写真とを並べて過去と現在を比較する連載で、館報編集に携わる市民有志が「街の記録に」とバックナンバーを整理・再編集した。約200枚の記録写真が一冊に収まり、郷土の移り変わりを伝えている。
『まつもと今昔―街角定点観測』と題してA4判232ページ。公民館報全市版に平成23年~令和4年に載せた58回分の写真をほぼ2Lサイズに引き延ばしてカラー掲載した。アーケード街だった本町通り(撮影=昭和50年)や浴衣の湯治客が行き交う崖の湯温泉(同51年)、東宝セントラルの看板が懐かしい西堀通り(平成12年)や松本駅西口にあった自転車一時預かり所(同14年)などが写る。撮影地点を落とし込んだ地図も新たに掲載した。
撮影者はいずれも、元市公民館職員で館報編集に長年携わる村田正幸さん(74)=野溝東1。20代で街のスナップを撮り始め、ネガ台帳を記録してきたため、30~50年を経てもいつ、どこで撮った写真かが分かり、今昔の比較が可能だったという。写真集には、同じく村田さんが毎日新聞長野版に連載した「街角定点観測」や、公民館報まつもと芳川版の「今昔物語」も掲載した。
当初は文字数の多い館報の紙面改革として始めた企画が、今日まで続く人気コーナーになった。全市版公民館報編集委員長の山口茂さん(70)=新村=は「写真を目にした市民から懐かしむ声をよく聞く。街は生き物なのだとあらためて気付かされる」と話す。村田さんは「街づくりを見つめる一助になれば」と話している。
希望者には1冊3000円で頒布する。問い合わせは編集発行の社会教育史料集刊行委員会(電話090・8326・6596)へ。