連載・特集

2023.4.9 みすず野

 各地の桜の開花が、平年より大幅に早い。このあんばいだと、ほかの草花の花期も早まりそうだ。気になる花の様子を見に塩尻市内の里山へ足を延ばした。最も知りたかったミズバショウはいくつか花を開いていた。昨年より早い。次々にその美しい姿を見せてくれるだろう◆別の場所に移動する。ここでは何度かカモシカを見かけた。山の反対側では、以前、木の幹に熊の爪痕がいくつもあったのを思い出した。車で容易に入れ駐車もできるから、山に来た人と会う機会が多い。春先はフキノトウが採れるのでそれが目的の人も。珍しく誰もいなかった◆フキノトウを探すと人の踏み跡や採った跡があちこちに。別の場所まで歩き、土手を見上げると、枯れ草の間から、たくさんのフキノトウが緑色の顔を出している。人が入った跡はなく、すぐ両手いっぱいになった。これだけあれば十分。残りは後から来る人に◆日曜のひととき、緩やかな山道をゆっくり歩いてみるのも楽しいのでは。もちろん、その前に県議選の投票を済ませてから。春の山の恵みは山菜だけではない。どこかやさしい山の空気、ウグイスのさえずり、新芽の息吹も。