地域の話題

「木曽谷模型」文化財に指定 木曽町 御料館常設 木製ジオラマ 福島の児野嘉左衛門彫る

御料館2階に常設展示されている「木曽谷模型」

 木曽町福島の御料館(旧帝室林野局木曽支局庁舎)に展示されている木製ジオラマ「木曽谷模型」が、町文化財に指定された。明治期に木曽ヒノキで作られた巨大な模型で、御嶽山や木曽駒ケ岳などの山肌や木曽川をはじめとする川筋が彫刻で表現され、彩色されている。全国でも似たものが少ない貴重な模型だ。

 模型は、明治13(1880)年に当時の内務省山林局木曽出張所が、国内の産業発展などを目的に「第2回内国勧業博覧会」へ出品するために制作した。旧福島村(現木曽町)の児野嘉左衛門(1809~85)が彫刻の腕を買われ、制作を請け負ったとされる。
 現存している模型は29個の部材を組み合わせて木曽地域全体を表現している。総面積は8・7平方㍍(5畳分)で、高さは最も高い御嶽山頂付近で67㌢。木曽谷北部が実際よりも狭く、南西部が広く作られているのが特徴で、当時木曽を支配していた尾張藩や山村代官家が蓄積した地図情報が活用されたとみられる。
 町教育委員会が先月19日付で指定した。木曽山林資料館(新開)の学芸員・山口登さん(82)=長野市=が平成21(2009)年に模型と出合い、名古屋市や東京都などに足を運んで史料や論文に当たり来歴を調べてきた。「原木の大きさを想像したり、山一つ一つの山肌を彫ったのみの跡をじっくり見てほしい」と語る。
 木曽谷模型は御料館に常設展示されている。開館は午前10時~午後4時(3月まで、月曜休館)で、見学無料。