2023.2.23 みすず野
松本市美術館で9回目の公募美術展「老いるほど若くなる」をやっている。70歳未満は出品できない。4年ぶりだ。3年ごとが第3回から隔年となり、一昨年は館の大規模改修で見送られた◆〈美術という視点に立つと、老人と幼児は異種同型〉―過去の記事から拾った―企画の発案者で初代館長の故・米倉守さんがこう書き残している。つまりタイトルに込められた思いは―老いても「まだまだ頑張れる」とか「ますます元気」ということではなく―年を重ねないと、たどり着けない境地―と受け取った◆小穴竹豊さん(96)=安曇野市豊科南穂高=の「船」の健在ぶりがうれしい。一昨年の小紙元日号に「牛」の版画を寄せてくれた、武田光弘さん(79)=同市穂高柏原=の頭の中から鉄腕アトムが飛び出してくるとは!他に挙げだすと切りがないが、御嶽山麓での滝行や神々しい有明山の絵が印象に残った◆添えられた解説を読むのも楽しい。〈人生の厚み〉〈生きる喜び〉―一つ一つにうなずき、作品の前で感じるのはただただ〈鑑賞に没頭する心地よさ〉である。素人の感想はこれくらいにしておこう。立ち去り難い会場であった。