老いるほど若くなる展のギャラリートーク 「人生に絵がある喜び」出展者も語る

松本市美術館は16日、70歳以上を対象とし、本年度で歴史に幕を下ろす公募展「老いるほど若くなる」のギャラリートークを開いた。小川稔館長による鑑賞案内に約30人が参加。会場には多くの出展者も来場し、年齢を重ねる中で描き続ける喜びや生きがいを語った。
出展された約300点について、小川館長は題材の大枠を▽ひと▽自然▽記憶▽わたし―に整理し「技術ではなく込められた思いが人を引き付ける」と話した。何げないスイセンの花を描いた日本画が母の死に接した際の光景を重ねたものであったり、80年を経た今も戦争体験が強烈な記憶として描かれたりしていることに触れ「凝縮された時間が絵の強み。他の世代にはまねできない」と語った。
来場した出展者はアドリブで作品を解説。「(風景を描くことで)若さがよみがえる」「育った野山や養蚕が題材」などさまざまな思いが語られた。アトリエ代わりの台所に立つ自身を描いた塩尻市広丘吉田の岩原真寿美さん(81)は「当初からこの公募展に多くの刺激を受け、今回初出展した。人生に絵がある喜びをあらためて感じる」と話していた。
ギャラリートークは23日午後2時にも開かれる。公募展は6月1日まで。