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ドローン配送の可能性実感 災害時想定して王滝村で実験

漢方薬や水、非常食などを入れた箱を本体に搭載し、離陸するドローン

 災害時の孤立集落への物資配送を想定したドローン配送の実証実験が7日、王滝村で実施された。遠隔監視を条件に離着陸地点へ補助者を置く必要のない「レベル3.5飛行」の制度を県内で初めて活用した。実験を見守った越原道廣村長は、ドローンが秘めた可能性を実感し、過疎地域が抱える課題の中で、高齢者の買い物支援の活用にも意欲を示した。

 ドローンにあらかじめ27カ所の位置情報を入力してルートを設定。崩越地区から約10㌔離れた宿泊施設おんたけ休暇村までを自動で飛ばし、重さ約2㌔の医薬品などを20分ほどで運んだ。実験は県の呼び掛けに応じた村と、ドローン配送などのネクストデリバリー(山梨県)などが実施した。運輸大手のセイノーホールディングス(岐阜県)が配送ノウハウを提供し、KDDIスマートドローン(東京都)が運行管理と通信面をサポートした。
 村内を震源に昭和59(1984)年に発生し、村民ら29人が犠牲となった県西部地震では、村内の主要道路が寸断された。越原村長は「地震から40年となるのを契機にドローンなどの活用体制を整えたい」と話した。
 実験は、時間外労働の規制強化に伴い物流業界の人手不足が懸念される「2024年問題」も見据えた。県木曽地域振興局の渡邉卓志局長は「地域の物流問題の解決の一つの手段となる。陸路でのトラック輸送の補完機能として進化できれば」と期待していた。
 ネクスト―は先月8~17日、石川県の輪島市内で医療物資などの輸送を実施した。災害時にドローンを活用して物資を被災地に届ける試みは国内で初めてだったといい、同社の青木孝人取締役は「地域理解があれば地震などの際にドローンを活用しやすい。受け入れる地域住民の姿勢が肝心となる」と話していた。