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アライグマ、安曇野市内で確認 生態系などへの影響懸念

 安曇野市の三郷地域と堀金地域で昨年11月から12月にかけ、特定外来生物のアライグマが確認されたことが分かった。平成14(2002)年に明科地域で専門家の同定により確認されて以来22年ぶりで、犀川以西で見つかったのは初めて。生態系や農作物に影響を与えたり家屋に侵入したりする被害が心配されるため、市などが警戒感を強めている。

 三郷地域では11月8日午後8時ころ、三郷明盛の奥谷洋子さんと家族が自宅の庭で柿の木にいるアライグマを見つけて撮影した。人が近づいても恐れる様子がなく、堂々と実を食べたという。奥谷さんは「アライグマなんて想像もしていなかった」と振り返る。
 堀金地域では12月5日午後9時ころ、堀金烏川の松本県ケ丘高校2年生・田中葉さんが近所の神社と屋敷林に野生動物の調査で仕掛けた無人撮影カメラに写っていた。田中さんは「どこから入ってきたのか、いつからいるのかが気になる」と関心を寄せていた。
 市は、2人から連絡を受けて写真を専門家に見てもらい、アライグマと同定した。環境課は「安曇野の田園地帯のど真ん中で確認されたのでびっくりしている。ノーマークの野生動物なので知識がない。専門家と相談しながら分布の様子や広がりの具合を確かめていきたい」とする。
 県内でアライグマの分布調査などをしている北佐久郡軽井沢町のNPO法人生物多様性研究所・あーすわーむによると、県内でも南信地域を中心に生息が広がっている。安曇野市周辺では近年、池田町や北安曇郡白馬村で捕獲されている。主任研究員の福江佑子さんは「松本地域では定着して増えているのではなく、若いオスが交尾相手を探して分散してきているのではないか」とみる。
 対策について、福江さんは「外来種は早期対策が重要。目撃があったら捕獲することを考えてほしい」と要望する。加えて、餌になる食べ物を放置しないことや廃屋を放置しないことなど「アライグマがすめるような環境を増やさないことが大切」と住民に対して注意喚起している。

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