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膝の痛み気にせずお手前堪能 木彫家で茶道講師の笠原さんが「立礼卓」自作

笠原さん(左)が自作した立札卓

 木彫刻家で茶道表千家講師の笠原隆行さん(75)=塩尻市柿沢=がこのほど、膝が痛くて長時間の正座が難しい生徒のため、いすに座って茶席を行える「立礼卓」を自作した。木彫の腕を振るい、正式な作法に対応する作りに仕上げた。7日に自宅で開いた教室で初使用した。

 自作した立礼卓は二つの卓のセットで、一つが約90センチ四方、高さ約40センチ、もう一方が幅約1メートル、奥行き約70センチ、高さ約40センチ。材料には地元の畳店にオーダーして作った畳と、杉の板を使用。通常は茶室の床下に備え付けられる小さないろり「炉」を、卓に組み込んだ。高さ調節ができるいすを組み合わせ、正座した時と同じ位置関係を作れる。
 笠原さんの生徒で膝を痛めている50代の女性は、立礼卓を使い「とても楽。(正座の時と比べ)全く違和感がない」と話していた。
 笠原さんによると、立礼卓は主に、外国人など正座になじみのない人向けに使われてきた歴史がある。一方、近年では膝が痛むため茶席に誘われても行かなかったり、稽古をやめてしまう例もあるという。「痛みを気にせずお茶を楽しんでほしい」と立礼卓を自作することにした。
 要望があれば流派を問わず貸し出す意向だ。問い合わせは笠原さん(電話090・3063・6331)へ。