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蘭桧笠作り 伝統の技披露 妻籠宿で実演販売始まる

蘭桧笠の技や魅力を訪れた人に伝えている実演販売

 南木曽町吾妻に伝わる県指定伝統的工芸品「蘭桧笠」の制作実演販売が、町内の妻籠宿で今年も始まった。国内外の大勢の旅行者でにぎわう宿場の一角で、生産者が地域の伝統の技術を披露している。

 笠はヒノキを細長い短冊状に加工した「ひで」を立体的に編み込み作る。寛文2(1662)年に飛騨(現岐阜県)から技法が伝わったとされる。
 実演販売は妻籠宿の町有形文化財・上嵯峨屋で実施している。今年は4月末に始まり、11月16日まで、土日祝日の午前9時半~午後3時に開く。
 今月11日も生産者2人が手さばきを披露し、旅行者らが足を止め見入っていた。客との会話や自分の製品が目の前で売れることは「作り手にとってもやりがい」という。
 新型コロナウイルスの影響で休止していたが、昨年に5年ぶりに復活した。蘭桧笠生産協同組合の池田興衛理事長(76)は「技を見てもらってこそ意義がある。価値や良さを伝え、技術をつないでいければ」と話している。