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カワウやニホンジカ捕獲の報奨金を上乗せ 安曇野市が駆除対策強化

犀川のカワウ(明科中川手)

 安曇野市が有害鳥獣の駆除対策に力を入れている。今冬から、市猟友会員が水鳥のカワウを捕獲した際に支払われる報奨金に1羽当たり6000円を上乗せしているほか、新年度からニホンジカの捕獲に1頭当たり新たに1万円の報奨金を支払う予定だ。猟友会員による捕獲の意欲を高めて個体数調整を進めることで、野生動物との共存につなげる。

 犀川漁業協同組合によると、犀川水系でカワウが増えており、ニジマスやイワナなどの放流魚が年間で400万円ほど被害に遭っている。「放流はカワウに餌をやっているようなものだ」と嘆く組合員もいるという。
 捕獲には、県漁業協同組合連合会を通じて1羽当たり2000円が支払われており、市が6000円を上乗せすることで計8000円になる。市町村が独自に報奨金を上乗せするのは中信地域で初めてという。今年は早くも55羽が捕獲されており、昨年1年間の43羽を超えて成果も出ている。犀川漁協の熊井正敏組合長は「市が積極的に動いてくれて感謝している。本当にうれしい」と喜ぶ。
 ニホンジカは明科地域や豊科地域に多く出没しており、市耕地林務課は「市内で増えている」と警戒する。林業で苗木の新芽や樹皮が食害に遭ったり、農業でブドウの新芽が食べられて生育に影響が出たりといった被害が報告されている。
 駆除したシカはその場で埋設されることも多いが、報奨金を受け取るには回収が必要なため、肉や毛皮、角の有効活用につながることも期待される。
 新年度一般会計補正予算案には、カワウで80羽分の48万円、ニホンジカで120頭分の120万円が計上されている。ハンターの担い手確保策として狩猟免許の新規取得に対して費用の全額補助も実施している。耕地林務課は「多くの人に関心を持ってもらい、対策に協力していただけたら」としている。

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