地域の話題

笑いに笑って半世紀 松本落語会 節目の寄席

トークショーで半世紀を振り返る権太楼さん、夢太朗さん、百瀬会長(右から)

 寄席の定期開催で笑いを届け、松本地域に落語文化を根付かせた「松本落語会」の50周年記念落語会が21日、松本市中央1のMウイングで開かれた。昭和48(1973)年10月21日の初回から数えて第561回に当たり、落語界の大看板、三笑亭夢太朗さんと柳家権太楼さんの両師匠が出演。客席を埋めた約120人が抱腹絶倒のひとときを楽しんだ。

 三遊亭まんとさんが開口一番で前座を務め、夢太朗さんと権太楼さんが2席ずつ演じた。身近な話題から古典落語まで、身ぶり手ぶりを交えて繰り広げる巧みな話芸が会場を笑いの渦に巻き込んだ。
 半世紀を振り返るトークショーも開催。両師匠と同会世話人会の百瀬澄之会長(66)が登壇し、権太楼さんは「50年やるとお客のレベルも上がってちょっとしたネタじゃウケなくなる。どうか無にして見てください」。初回にも招かれた夢太朗さんは松本落語会の発起人、故・大島啓愛さんの思い出を語り「よくぞ火を付けてくれた」と懐かしんだ。
 第1次オイルショック時、不況下の地域を盛り上げようと、舞台照明家だった大島さんら有志が会を立ち上げた。以来市内で月例の寄席を催し、第101回以降は高砂通りの瑞松寺を拠点とする。
 大島さんの妻・隆子さん(84)は「強情っぱりな主人は始めたことを絶対やめない人だった。その会が本当に50年も続いて感無量」、事務局の筒井敏男さん(79)は「落語は泣いて笑って人生そのもの。これからも笑いいっぱいの人生を送れるように」と話していた。